このWEBコラムでは、蛇にまつわる日本の昔話を「トークノベル形式のものがたり」でお届けしています。人物の挿絵や状況描写イラストはイメージです。また、登場人物の台詞を現代的な言葉遣いに変更したり、制作者の解釈で付け足したりして再話しています。元のお話の意図を失わないよう意識しながらの制作に努めていますが、そういった営為は「解釈」ぬきには行えないことをご了承ください。利用した出典は明記しておりますので、気になる方はご活用ください。
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はじまり、はじまり…
「蛇の松」
むかしむかし、讃岐(今の香川県)の東のほうに、白鳥というところがありました。
そこには広い広い松原があり、松原から沖を眺めると、二子島という小さな島が手にとるように見えました。
その二子島にはずっと昔から一匹の雄の大蛇が住んでいました。
ある日、白鳥の漁師が、娘を連れて二子島へ仕事にでかけました。
おっとうの仕事について行くのは久しぶりじゃ~。海は気持ちいいなぁ
大蛇はその娘を一目見てからというもの、もう夢中になってしまいました。
なんと美しい娘だ…
あれから何日たったろう…あの娘にもう一度会いたい…
ついに大蛇は、娘に会いたい一心で、りりしい若者に化けました。
会いたい…
そして、真っ黒い雲を呼びよせて、その雲に乗って、恋しい娘の住んでいる白鳥の地に向かいました。
白鳥の松原に辿り着いた大蛇は、娘が友だちと一緒に水浴びをしているのを見つけました。
そして、その美しい姿にただもう夢中でみとれていました。
この娘がわしの嫁になってくれたらどんなにしあわせじゃろう…
大蛇は、日が暮れていくのもすっかり忘れて、娘の愛らしいに見蕩れていました。
そして、いつしか娘は帰っていき、大蛇はとっぷり暮れた松原で、ボンヤリしていました。
は!!気づいたらもう夜中ではないか!!二子島に帰らんと!
ふと我に返った蛇は、あわてて黒雲を呼びました。
ぴぃーっぴいーっ!
雲が沸いてこん…
あくる日もあくる日も黒雲をよびましたが、いっこうに沸いてきません。そうこうしているうちに蛇は、二子島のほうを向いたまま大きな松になってしまいました。
こうして、いまでの白鳥の松原には、蛇のようにまがりくねった大きな松が二子島にむかって立っているのが見られるんだとか。
いつしか浜の人々はこの松のことを「蛇の松」と呼ぶようになりました。
おしまい、おしまい。
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舞台となった地域・資料・補足
元の採集場所や文献 | |
制作者が参考にした文献 | 「日本の民話300―旅先で聞いた昔話と伝説」(池原昭治 著)p.393~394 |