このWEBコラムでは、蛇にまつわる日本の昔話を「トークノベル形式のものがたり」でお届けしています。人物の挿絵や状況描写イラストはイメージです。また、登場人物の台詞を現代的な言葉遣いに変更したり、制作者の解釈で付け足したりして再話しています。元のお話の意図を失わないよう意識しながらの制作に努めていますが、そういった営為は「解釈」ぬきには行えないことをご了承ください。利用した出典は明記しておりますので、気になる方はご活用ください。
※このコンテンツは、イラストや動画や、動くエフェクトが使用されています。通信環境の良いところでご覧になられることをおすすめいたします。また、アニメーションの影響で、まれにめまいを覚えられる方や気分が悪くなられる方もいらっしゃいます。体の異変を感じた場合にはすぐ視聴を休止し、安静になさってください。
※ここで紹介しているお話は、排泄物の表現があります。苦手な方はご注意ください。
はじまり、はじまり…
「名護親方と字を書くアカマタ」物語(その1)
字の始まりは、名護親方という話があります。
名護親方…中国名で程順則は1663年に久米村で生まれ、沖縄名を寵文といいます。
1728年に名護間切の総地頭(今の市長)となり、名護親方と呼ばれるようになりました。政治家、学者、教育者としても知られています。
このイラストは、「名護親方」で調べて出てきた画から、寵文の若い時をイメージして描きました。
アカマタというヤツは、よく人に化けて女なんかにいたずらする蛇でした。
ある日、名護親方が道を歩いていると、向こうから女がやってきて、行違いました。
… … …
…なんだ?女のあとを、何かがついて這っている…
女はおしっこをしていたようで、その後にアカマターがなにやらその上のたうちまわったあとに、女の後ろをついていっているのがわかりました。
あのアカマタ…何かを描いているようにみえるが…
名護親方は、アカマタがいじったところを後から調べてみたら、みんな字になっていたそうです。そして
これは大変だ!
と言って、女と、その後を追って行くアカマタのところへ駆けつけました。
おい!女!
!
!
そいつはアカマタだ!蛇が化けているのだ!ええい、女から離れんか!
女は蛇にだまされているところまでいっていたのですが、駆け付けた名護親方が蛇を追い払って無事に何事もありませんでした。
おしまい。
元の採集場所や文献 | 〇伝承地 沖縄県島尻郡伊平屋村字我喜屋 「昭和54年度 沖縄国際大学口承文芸研究会伊平屋調査草稿」 |
制作者が参考にした文献 | 日本伝説体系 第15巻 「90 名護親方と字を書くアカマタ」p.383 |
この話の「類話」として収録されているお話がありますが、そのうちの「名護親方」という名称が出てきているお話がもうひとつあったので、つづけてお届けします。
はじまり、はじまり…
「名護親方と字を書くアカマタ」物語(その2)
名護親方が道を歩いていると、女がアカマタともつれあってあやしげな行いをしていました。
それを見た名護親方は、
許してはおけん!
と言って、アカマタを切り殺しました。
はっ…!わ、私はいったい何を…?
~!~!
女は恥ずかしくなったようで、あわてて帰っていきました。
…む?何か残っているぞ
女が去ったあとにはそこには小便が残っており、その跡にアカマタの尾で字のようなものが書かれていました。
親方はそれを写し取りました。
そして、別の女の小便の跡をみつけて、それを使って同じように字を書いたら…
なんだ…この…妙な感じは… … …
…と、親方もまた怪しげな行いをしました。
はっ…!い、いかんっ、これはいかんっ…!
それで、「これは大変」と思い、その紙を捨てて慌てて燃やしたそうな。
おしまい。
元の採集場所や文献 | |
制作者が参考にした文献 | 日本伝説体系 第15巻 「90 名護親方と字を書くアカマタ 類話」p.384 |
このお話の類話として、「池城親方」という総地頭のお話もあります。名護親方が活動されていた時代より後の世の人で、『これは、名護親方とアカマタの伝承が伝わっていたのではないか?』と思わせるお話だったので、続けてお届けいたします。
はじまり、はじまり…
「池城親方と字を書くアカマタ」物語
池城親方という人が辻からの帰り道、美しい女がおしっこをしてそのまま行ってしまったのを見ました。
池城親方…池城 安規(いけぐすく あんき、1829年- 1877年4月30日)は、琉球王国末期の官僚。三司官の一人として日本政府による琉球処分の難局に対処した。唐名は毛有斐。毛姓池城家の15世。
※参考…Wikipedia
このイラストは、「池城親方で調べて出てきた画からイメージして描きました。
これは…
そして、その跡にアカマタがなにやら体を使って何かを描いていました。
たしか…アカマタが字を書くと、どんな女も騙されると言い伝えがあったような…。
これは一大事だ!
そう思った池城親方は、その字を踏み潰しました。
すると、そのおかげか…何事も起こらずに済んだようです。
それ以来、おしっこをすると3回 唾をはきかけるようになったんだとか。
おしまい。
元の採集場所や文献 | 中頭郡読谷村儀間「儀間の民話」読谷村民話資料5 |
制作者が参考にした文献 | 日本伝説体系 第15巻 「90 名護親方と字を書くアカマタ 類話」p.384 |
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