このWEBコラムでは、蛇にまつわる日本の昔話を「トークノベル形式のものがたり」でお届けしています。人物の挿絵や状況描写イラストはイメージです。また、登場人物の台詞を現代的な言葉遣いに変更したり、制作者の解釈で付け足したりして再話しています。元のお話の意図を失わないよう意識しながらの制作に努めていますが、そういった営為は「解釈」ぬきには行えないことをご了承ください。利用した出典は明記しておりますので、気になる方はご活用ください。
※このコンテンツは、イラストや動画や、動くエフェクトが使用されています。通信環境の良いところでご覧になられることをおすすめいたします。また、アニメーションの影響で、まれにめまいを覚えられる方や気分が悪くなられる方もいらっしゃいます。体の異変を感じた場合にはすぐ視聴を休止し、安静になさってください。
はじまり、はじまり…
「龍と娘:おじき」物語
沼の近くの一軒の農家に、美しい娘がいました。
しかし娘は早くに父母をなくし、叔父の家で育てられていました。
叔父貴、沼に水を汲みに行ってくるわ
ある日、娘が沼に水汲みに行くと大きな龍が現われ、優しいまなざしで近づいてきました。
! ! !
ま、待ってくれ。怖がらせるつもりではないのだ…。
娘よ、どうか私の嫁になってくれないか。
嫁…わたしが、あなたの?
そうだ。以前からお前を恋しく思うておったのだ。
(とてもやさしい目をしている…。だますつもりではなさそう、だけど…)
私には両親がおらず、叔父貴の家で育てられた身なのです。私の一存でお答えすることができないの…
3日の間に叔父貴と相談します。4日目にはお返事に参りますから。
…というわけなんだけど…
ところが、話を聞いたおじは、
とんでもない、誰が可愛い娘を龍なんぞに!
…と有無もなく許しませんでした。
~約束の日~
…それで、叔父貴が言うにはダメだということでしたの…
…!…ッ!
夢破れたことがわかった龍は、娘に近づくと自分の背に乗せてしまいました。
きゃあっ!
驚いた娘は龍の上から叫びました。
叔父貴ー!おじきーっ!
しかし、張りあげた声が届く間もなく、龍は海の方へと下ってしまいました。
この時の「おじきー」と叫んだ娘の声が村人の耳に残り、おじきが尾尻となったのだそうな。
おしまい、おしまい。
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補足や資料
元の採集場所や文献 | 神奈川新聞『秦野の昔ばなし』より |
制作者が参考にした文献 | 日本の竜蛇譚 神奈川県秦野市今泉 龍と娘(龍学) |
このお話は「龍学」さんの神奈川新聞『秦野の昔ばなし』より要約 を基軸に制作いたしました。当コンテンツ制作者は元資料の入手ができませんでした。「龍学」さんの記事では、秦野で語られた二つのお話しの違いや、実際の土地の雰囲気から読み取れる考察なども充実していますので、ぜひ読んでみてください。
「異類婚姻譚」「蛇聟(蛇婿)」のタグをつけていますが、これはこのお話が「龍学」さんのウェブサイトのほうで『蛇聟譚』に分類されていることからこのタグをつけました。このお話しに登場する龍と娘が婚姻した記述はなく、また性別というものが男女という分類で適応できるかどうか、…といった解釈については、読者のお一人お一人にお任せしたいと思います。
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