このWEBコラムでは、蛇にまつわる日本の昔話を「トークノベル形式のものがたり」でお届けしています。人物の挿絵や状況描写イラストはイメージです。また、登場人物の台詞を現代的な言葉遣いに変更したり、制作者の解釈で付け足したりして再話しています。元のお話の意図を失わないよう意識しながらの制作に努めていますが、そういった営為は「解釈」ぬきには行えないことをご了承ください。利用した出典は明記しておりますので、気になる方はご活用ください。
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はじまり、はじまり…
「大蛇封じ込めの岩」物語
縁起によると、飛鳥時代に役行者が山をひらいて、蔵王権現を祀ったのが寺のはじまりでした
。
ところが、この山には神通力を持った大蛇が棲んでいて、しばしば火を吐いて農作物や村人たちを襲っていました。
弘仁6年ころ…
弘法大師がこの地を巡っていた時。
山頂は…まだまだな。…少し休むとするか。
弘法大師が、一本杉のもとで休んでいた処、阿弥陀如来があらわれた夢を見ました。
今の夢はいったい… はっ! !
目を覚ますと目の前が火の海になっていました。
この炎は何だ…?畑でも作っているのが燃え広がったのか…?
(しかし、先ほど夢に出てきたのは…あれは阿弥陀如来さまではないだろうか。この炎について何か伝えたいことがあったのか…?つまり畑を作っているわけではない…?)
どのみち、このままでは俺も焼けてしまう。いったん川まで降りよう
そこで弘法大師は、麓の垢取川で身を清めて山に登ることにしました。
すると、そこには大蛇がいて火を噴いていました。全山は火の海のようになり、この大蛇によって弘法大師が妨害されているかのようでした。
!この山には神通力を持った蛇が住んでおるという噂があったが…本当だったということか。
…つまり、あいつを退けんことには火は消えんということだな。
大蛇は姿を消しました。
大師は「摩廬の印(水輪の印)」を結び、真言を唱えながら進みます。
のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おんあり きゃまり ぼり そわか …!
山頂近くの岩窟にさしかかったとき、ふたたび大蛇は姿をあらわしました。
のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おんあり きゃまり ぼり そわか …!
大師は一心に祈願し、虚空蔵菩薩の御加護のもと岩窟に封じ込めました。
そして自ら彫られた三面大黒天を安置し…被害を受けていた民家の大衆安楽、五穀豊穣を祈りました。
また山は「焼山」となってしまったので大師が「焼山寺」と名付けました。「摩廬」の山号も「焼山」の寺名も、こうした奇異な伝説に由来しており、鎌倉時代の後期には後醍醐天皇(在位138〜39)の勅願所(※)となっています。
(※)…時の天皇・上皇の勅命により、鎮護国家・玉体安穏などを祈願する神社
おしまい。
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補足や資料
元の採集場所や文献 | 焼山寺縁起によるもの…らしいです。(焼山寺公式ウェブサイトより) |
制作者が参考にした文献 | Googleマップを眺めていた時に発見したのが気になって調べてみました。インターネット上で複数のソースを元に制作しました。 ①みんなのへんろ ②摩廬山 正寿院 焼山寺 ③四国お遍路|12番札所「焼山寺」火を噴く大蛇伝説 |