中国少数民族ペー族に伝わる「蛇婿入り・嫁入り・殺害型」（あらすじのみ）

シミラという女性には7人娘がいた。ある日、シミラの家の前の木に大蛇がからみついて、家を見張られはじめた。大蛇に事情を聴くと、「お嬢さんの一人を妻にいただきたくお願いにあがった」と言う。娘たちに気持ちを確かめると、押し付け合いのようになったので、七番目の娘が名乗りを上げた。

そして七妹チィメイ（七番目の娘を表す愛情表現）は大蛇について森へ入る。大蛇はしばらく姿をくらまし、戻ってくると眉目秀麗な若者になっていた（脱皮しばかりの蛇の抜け殻をぶら下げていたので信じた）。二人は蛇郎シャランの家で幸せに暮らし、一年後2人の男の子を授かる。

しばらくして 6人の姉たちが遊びにくると、大蛇が良い若者であり金持ちであることに嫉妬した。六妹は七妹を殺して成り代わる策に出た。
妹を池に突き落として殺害に成功した六妹は成り代わり、蛇郎の妻として暮らし始めた。

子どもが家畜の放牧ができる年頃になったころ、放牧先であまりにも問題が起きる。蛇郎が真相を確かめようとして子供を問い詰めると、子どもはこんな話を打ち明けた。

実は、子どもが放牧に出かけた最初の日に、鳥が飛んできて「チュンチュンチュン（繰り返し）母なき子よ なぜ泣かず」と歌い、ほかの鳥も呼び寄せてざまざまな芸を見せてくれるようになったというのである。

それからというもの、息子は鳥たちの芸に夢中になって家畜の世話がおろそかになっていたという。

蛇郎は自らのその鳥たちについて確かめるために出かけたが、見つけることができなかったので、息子が嘘をついたと思って握りこぶしを振り上げると、息子は鳥に助けを求めて叫ぶ。すると美しい鳥がやってきて「チュンチュンチュン（繰り返し） 蛇郎さんよ　妻知らずして 子につらく当たるか」と歌いだす。

不思議に思った蛇郎は、「君が我が家の精霊なら、我が家の作物干し場に飛んで行ってほしいだけ食べなさい」と言った。しかし、そうでないなら二度と息子に関わらないでほしいとも言う。

夕方になり、蛇郎と息子が帰宅すると、鳥は庭の稲束の実をついばんでいた。それから鳥は毎日蛇郎の家に通ってくるようになり、蛇郎も息子も鳥を歓迎した。

しかし、鳥は六妹にだけ嫌がらせをする。とうとう六妹は蛇郎に言って鳥を殺させた。

鳥が殺された時間、庭にひとつ鋏が落ちていたのを見つけて、六妹は衣装箪笥に隠す。しかし、箪笥にある六妹の服だけがちぎられてたので、鋏を家の外に捨てる。しかし、お隣さんによって家に届けられてしまったので、しかたなく台所に隠しておく。

しばらくすると、息子が台所にこもりがちになる。不審に思った蛇郎がこっそりのぞいてみると、台所に七妹そっくりの女がいて息子と話していた。

蛇郎はあわててその女の手をつかみ、自分の妻なのか尋ねた。すると、六妹が入ってきて罵ってきた。口論のなかで、六妹が七妹を殺して成り代わったことが明るみに出る。

蛇郎は意を決して、磨いた刀の刃を上向きにして敷居にしばりつけて、二人にそれを飛び越えさせる。

真心をもった七妹は軽やかに飛び越えたが、疑心暗鬼の六妹は飛び越えられず、鋭い刃に落ちて体が真っ二つに切れて死んだ。