このWEBコラムでは、蛇にまつわる日本の昔話を「トークノベル形式のものがたり」でお届けしています。人物の挿絵や状況描写イラストはイメージです。また、登場人物の台詞を現代的な言葉遣いに変更したり、制作者の解釈で付け足したりして再話しています。元のお話の意図を失わないよう意識しながらの制作に努めていますが、そういった営為は「解釈」ぬきには行えないことをご了承ください。利用した出典は明記しておりますので、気になる方はご活用ください。
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はじまり、はじまり…
「青柳池の片目の大蛇」物語
越後には青柳村の青柳池といって、伝説の上では、かなり有名な池があります。
…なんでも、あの池には大蛇が住んでいるらしい。妖怪?いやちがう、水の神だよ…
どうも、時おり美しい女の姿に化けて、市へ買い物に出たり、町の御寺の説教を聴きに来たりしてるらしい
美しい女は気を付けろ。もしかしたら大蛇かもしれんからな…
昔、安塚の城の殿様杢太という人が、市に遊びに出て、この美しい池の主を見染めました。
なんと美しい人だ…
もし
…どこかでお会いしましたかしら…?
あいや、そういうわけでは…。
その、貴女はどちらにお住まいでしょうか…?
…青柳の池のそばですわ。大きな通りがすぐ近くにありますけれど、少し行けば静かないいところなのですよ。
…でも、そうですね。静かさは、時に寂しさを誘いますから…
もし、お殿様さえよければ…遊びにいらっしゃいませんこと?
そううしてつれられてとうとう青柳の池に入って、戻らなかったということでした。
この杢太殿が目一であったところから、今にこの池の魚類は片方の目に曇りがあるという言い伝えがあります。
おしまい。
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越後には青柳村の青柳池といつて、伝説の上では、かなり有名な池があります。この池の水の神は大蛇で、折り折り美しい女の姿に化けて、市へ買ひ物に出たり、町の御寺の説教を聴きに来たりするといつたのは、多分街道すぐ脇にこの池があつた為に、そこを往来する遠くの人までが評判にしてゐたからかういふ話ができたのであらうと思ひます。昔安塚の城の殿様杢太といふ人が、市に遊びに出て、この美しい池の主を見染めました。さうしてつれられてとう〱青柳の池にはひつて、戻らなかつたといふことで、この杢太殿が、また目一であつたところから、今にこの池の魚類は一方の目に、曇りがあるといひ伝へてをります。(越後国式内神社案内。新潟県中頸城郡櫛池村青柳)
(1998年 「柳田國男全集 第4巻」p.369 筑摩書房)
補足や資料
「新潟県中頸城郡櫛池村青柳」で検索すると出てきた地図を埋め込みます。
元の採集場所や文献 | 越後国式内神社案内。新潟県中頸城郡櫛池村青柳 |
制作者が参考にした文献 | 1998年 「柳田國男全集 第4巻」p.369 筑摩書房 より。(現代仮名遣いに変更) |