このWEBコラムでは、蛇にまつわる日本の昔話を「あらすじ」でお届けします。
「トンビとヘビの結婚」あらすじ
(トンビのカムイの一人称で進む。)
トンビの神は天から人間の村に降りてきて、その村を守っていた。
ある日、村の上空を飛んでいると、あまりの天気の良さに上機嫌になって、山に火をつける。燃え盛る火を見て喜んで飛行していると、そこに蛇の神が燃えた骨があるのを見つける。
トンビは腹を立て恐れながら降りて、後悔しながら燃えた骨を川に持っていき、川の神になんとかこの蛇の神を生き返らせてもらえないか頼む。蛇の神を川の神に託したトンビの神は家に帰ってもなお腹を立てていた。
何日か立つと、家に若い娘が入って、かしこまってしばらく座ってから「私は蛇の神です」と名乗る。
その蛇神の娘は「散歩をしていたとき突然炎に襲われた事、逃げたものの燃えてしまったことを伝え、それから気が付いてみると水の神に看病されており、何日もの看病の末こうしてすっか生き返った」と話してきた。そして水の神より『おまえは生き返ったのだからトンビの神のところへ行って話しをしなさい』と言われてここに来た、という。
トンビの神は「自分が火をつけたので自分が悪かった」のだと謝る。しかし蛇の神は帰らず、そのままトンビの神の妻になると言うので、両者は結婚した。
「火事になると私はよろこんで舞を舞い、踊りをおどりながら上空を飛んでいたのだが、ヘビの神が焼かれながらも水の神のおかげで生き返って、私は蛇の神と結婚したのだから話したのだ。」
ーーとトンビの神がいったそうだ。
補足や資料
元の採集場所や文献 | 北海道静内町の虎尾ハルさんから 志賀雪湖が採集・抄訳したもの。 |
制作者が参考にした文献 | 「世界の鳥の民話」日本民話の会 外国民話研究会編訳 三弥井書店 pp.53‐54 |
志賀雪湖…1958年生まれ。アイヌ語アイヌ文学研究。共訳書に『世界昔ばなし』(講談社)、論文に「遠島タネ媼の伝承ー亮昌寺アイヌ語音声資料」(『アイヌ民族博物研究報告』)など。
1983年 7月27日に北海道静内町の虎尾ハルさんから志賀雪湖が採集したもの。「トンビが蛇をくわえて空を飛ぶ姿を見る事があり、これをトンビと蛇の結婚だととらえたと言えよう。」(P.55)